日本ワインの基礎知識
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"ここ数年における日本のワインの進化はめざましい。高温多湿で雨が多いという気候のハンディに加え、ぶどう栽培農家から購入するぶどうの価格が高いこともワインの値段を下げることが難しい要因のひとつとなっていた。ところが最近はその困難を乗り越えて、高品質でありながら1000円台くらいから楽しめる実にバリューなワインが続々登場し、ワインショップの棚には、輸入ワインと並んで、日本ワインの種類が年々着実に増えていることを実感する。
おもな産地は、北から北海道、山形、山梨、長野、新潟などを中心に、各地に優れた造り手のいるワイナリーがあり、純国産のぶどうを使ったワインづくりが行われている。日本独自の品種として代表的な「甲州」は、名前の通り山梨県が主要産地。長く地元では日常の地酒として親しまれてきた品種だが、最近は醸造方法などの工夫により、フレッシュ&フルーティーなタイプ、柑橘系のフレーバーが心地よい辛口タイプ、果皮の成分をいかしたオイリーでコクのあるタイプなど、甲州種の潜在能力を見事に引き出したワインが楽しめるようになり、国内はもちろん国際的なレベルでの評価も高まっている。
赤ワインでは「日本のワインぶどうの父」といわれる川上善兵衛が生涯をかけてつくり出した「マスカット・ベーリーA」が日本独自の代表品種。キャンディーアロマといわれる独特のチャーミングな香りを持つこのワインは、味わいも愛らしく、軽やかで若々しいイメージが強かった。近ごろは熟成感のある大人っぽさを感じさせるタイプのものも登場し、産地と造り手の個性の比較が楽しめるようになった。シャルドネやカベルネ、ピノ・ノワールなどの欧州系品種も各地で栽培され、長野塩尻産のメルローはとりわけ知名度も高い。北海道ではケルナーやミュラートゥルガウなどドイツ系品種が目立つほか、池田町では独自に開発した耐寒性品種を用いてのワインづくりが行われている。山形は冷涼な気候がもたらす、きりっとひきしまった酸味のきれいなワインが赤白ともに多い。雨量も多く、気候からいえばワインよりもミカンを生産したほうがよいのでは? といわれることもあるという宮崎県でも、キャンベルアーリーをはじめ、ハイレベルなシャルドネなどもつくられている。
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【この辞典の書籍版説明】
「ワイン手帳」熊野 裕子 |
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産地別の構成で、各産地の基礎知識をはじめ、スタンダードな銘柄の品種、ボリューム感、甘辛度、価格の目安がひと目でわかるほか、それぞれの銘柄の特長を解説します。 |
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