きす(昆布〆)
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【すし手帳】 白身など >
透明な飴色に輝くスリムな魚体、つぶらな瞳、愛らしいおちょぼ口。見た目からも想像されるとおり、身は淡泊でくせがまったくなく、天ぷらやフライ、刺身などさまざまに調理されて、老若を問わず好まれている。
湾内の浅瀬に高い脚立を立ててまたがり、朝早くからのんびりとアオギス釣りの糸をたれるたくさんの釣り人の姿は、江戸末期から明治にかけて江戸湾(東京湾)の初夏の風物詩だった。高い脚立を使ったのは、小さな波の音にも逃げ出すほど、アオギスは音に敏感で臆病な魚だからという。東京湾のアオギスはほとんど絶滅してしまったものの、シロギスは現在でも砂浜からの投げ釣り、遊漁船や小舟での一本釣りなど、釣りやすい魚として大いに人気がある。
上品にして純な江戸前の美形魚
すしダネとしては古典的な江戸前ダネの一つ。生のままではなく、昆布〆や酢〆でいただくのが一般的だ。
写真(東京湾産)はどちらも半身を握り、歯切れをよくするために包丁を入れてある。昆布〆はかすかな塩味に混じる甘さがいかにも品がよく、酢〆はほろほろとこぼれるような純な味がすばらしい。
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【この辞典の書籍版説明】
「すし手帳」坂本一男 |
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