ロスチャイルド家
【ろすちゃいるどけ】
【雑学大全2】 ヒトの不思議 > 人物
世界の金融王ロスチャイルド家の名前は誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。いまに至る莫大な富を築いた初代ロスチャイルドは、本名をアムシェル・マイヤーといい、一七四三年、フランクフルトに生まれた。ちなみに「マイヤー」はドイツによくある姓で、かたや「アムシェル」は典型的なユダヤ名だ。ユダヤ人だった彼の父親は、息子の将来を考え、注意深く姓と名をドイツとユダヤにふり分けたのだろう。その父親はアムシェルが少年期に亡くなるが、兄のモーゼスによって育てられた後、二〇歳で独立し、貸し金業をはじめた。当時の慣わしに従って、金融業の赤い看板を出したことから、彼は後に「赤い(ドイツ語でロート)」「標識(ドイツ語でシルト)」と名乗るようになる。「ロートシルト」、英語読みで「ロスチャイルド」とは、もともと彼の屋号だったといえる。数多くの貸し金業者がひしめくフランクフルトのユダヤ人居住区でアムシェルが成功をつかんだきっかけは、貨幣とメダルの通信販売をはじめたことである。カタログをつくり、名の知れたコレクターに送って注文をとる。売りたいものがあれば買い上げる。やりとりはすべて郵便によっておこなわれ、双方は時間も手間もかけずに売り上げをあげることができた。古いコインやメダルは愛好家たちによって高値で売買されており、その頃ちょうどヨーロッパ全土に郵便制度も広がっていた。インターネットショッピングが利用されはじめた頃のような驚きと興味を持って人々に迎え入れられたに違いない。三代を経るうちに世界でも指おりの大金持ちになったロスチャイルド一族は、金を生み出すことだけでなく、使うことに関しても徹底したこだわりを見せた。アムシェルのひ孫にあたるチャールズ・ロスチャイルドは、銀行勤めのかたわら、ノミの研究に一生をささげた人物だ。人々を病から救うことを目的に、ペストなど伝染病の媒介となる害虫の生態の解明に努めた。彼の死後は娘ミリアムによって研究が引き継がれ、父が集めたノミのコレクションを画家に克明に写生させ、ノミの種類を分類し、七巻の図録として刊行した。ノミがいるような生活とは縁遠いロスチャイルド家だが、考えようによれば、彼らほどの大富豪でないとそのような研究はできなかったともいえるだろう。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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