ロシア
【ろしあ】
【雑学大全2】 地理 > 国・島・都市
ロシアがイスラム教国になっていた可能性もあったという歴史があるのをご存知だろうか。東ヨーロッパに端を発して黒海に流れ込む大河ドニエプル川河畔を中心に、九世紀後半ロシアの国としてキエフ公国が誕生し、一〇~一一世紀にかけて最盛期を迎えた。最盛期の頃の国王であるウラジミール大公は、国教をキリスト教(ギリシア正教)に定めた。これが一つの契機となって、キエフ公国は、政治・経済・文化の中心として栄え、当時の大国ビザンティン帝国と肩を並べるほどになった。ウラジミール大公が国教にキリスト教を選ぶときのエピソードが伝わっているが、それによれば、ウラジミール大公は、どの宗教に国を挙げて入信すればよいか、自分の配下の者に各宗教のことを調べさせることにしたという。調べは進み、最終的に候補にはイスラム教とギリシア正教が残った。ウラジミール大公は、最初は地理的にも隣で近いアラブ諸国で優勢なイスラム教を選ぼうとしたのだが、イスラム教の厳しい戒律に躊躇した。豚肉はダメ、メッカへの参拝、そして何より禁酒である。酒を飲むことは、酷寒のロシアにとっては、その寒冷を乗り越える一つの大切な方法。これを禁じられては、国民からも不安が出るし自分もできそうもない。そこで、イスラム教側に禁酒だけはどうにかできないかと交渉したというが、答えはもちろんダメ。そこで、アルコールに寛容なキリスト教を選んだというわけだ。このときもしもウラジミールが、禁酒もやむなしと考えて、イスラム教を国教にする決心をしていたならば、その後の歴史はどうなっていたか、想像するだけでも興味は尽きない。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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