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そういえば、最近、お神輿を担ぐときのかけ声が「ワッショイ、ワッショイ」ではなく、「ソイヤ! ソイヤ!」とか「セイヤ! セイヤ!」になっている。どうして変わってきてしまったのだろうか。浅草の鳥越神社の宮司さんによれば、かつて本物の江戸っ子が神輿を担いでいたときのかけ声は、「和を背負う」や「和一処」を語源とした「ワッショイ」だったという。明治後期に刊行された「東京風俗志」によると、「ワッショイワッショイのかけ声を放ち、もみ上げ揺り上げ、担ぎまわることとなるが、多勢の壮漢思い思いの方に遣らんとして容易に進むことならず」とある。確かに、昔は担ぎ手もいっぱいいて、鍛え上げられた肉体の江戸っ子たちが、それをひけらかさんばかりに「ワッショイ、ワッショイ」とやったようだ。これが、「セイヤ! セイヤ!」となっていったのは、一九六〇年代後半からで、都心部ではとくに担ぎ手が不足となり、神輿同好会の人々などが加わったために広まっていったのではないかといわれている。ところで、この両かけ声、言葉が違うだけではないことにお気づきだろうか。大きな違いはそのリズムである。「ワッ/ショイ/ワッ/ショイ」では、最初の「ワッショイ」で二拍、そのあとに二拍あって、リズムとしては「一、二、三、四」となる。それが、「セイヤ! セイヤ!」の場合は、セイヤで一拍、セイヤと返すほうも一拍で、「一、二、一、二」というリズムである。このリズムが早いほうが、現代の神輿の状況にあっているのだ。まず、ゆっくり上げてゆっくり下ろすのは、体力的にもきつい。担ぎ手が少なかったり、女性も参加するようになった神輿では、なるべく小刻みに動かして重みをまともに受けない担ぎ方がいい。また、交通規制なども厳しい現代の神輿は、回り方もなるべくゆっくりにならないほうがいいというわけだ。神輿のかけ声にも、時代のニーズが隠されていたのだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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