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正露丸
【せいろがん】

雑学大全2社会 > 企業

お腹を下したときの薬として広く知らしている「正露丸」。その誕生は日露戦争に由来する。当時の兵士たちの衛生環境はきわめて悪かった。そのうえ、慣れない敵地では、水や食べ物が体に合わず、下痢りをするものが続出した。どんなに勇ましい兵士でも、下痢をしていたのでは十分に戦うことができない。そこで、下痢止めの薬の早期開発が課題となった。帝国陸軍軍医学校教官の戸塚機知軍医は、一九〇三(明治三六)年に、クレオソート(日局クレオソート)が、チフス菌を抑制する効果があることを発見した。クレオソートは、歯科での鎮痛鎮静や消毒剤として、今日ではよく使われており、クレオソートチフス菌に対する効果については異説もあるが、当時はこの効果が絶大だと信じられていた。実際、出征した兵士たちに服用させると、あっという間に症状が改善したという。現在でも愛用者が多いのだが、とにかく当時の兵士たちにとっては、悩める下痢から解放してくれる魔法の薬だったようである。当時の陸軍における正式名称は「クレオソート丸」だが、その効果と日露戦争中というご時世が重なり、巷では「征露丸」と呼ばれて、もてはやされた。この薬があれば、兵士のお腹の調子もよく、「ロシア(露)」を「征服」できるだろうとの思いからである。時代変わって四〇年後、第二次世界大戦が終結し、日本は連合軍の占領下にあったが、連合軍の一つであるロシアに対しても、また平和を誓う意味からも、たけだけしい「征」の文字はイメージがよくないということで、「正露丸」に改められた。ちなみに、おなじみのラッパマークは、陸軍の兵士の進軍ラッパからきている。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305