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従四位
【じゅしい】

雑学大全2生物の不思議 > 動物

いまではちょっとした動物園に出かければ、ゾウがいるのは普通だろう。だが、その昔、ゾウといえば珍獣だった。江戸時代には、その貴重さからか、大国の大名と同程度の位階である従四位」まで賜ったことがあるという。一七二八(享保一三)年、徳川吉宗がゾウを見てみたいと所望したことを受け、中国の商人鄭大威が、コーチという国(現在のベトナムにあたる)からオスとメス二頭のゾウを長崎港に連れてきた。六月には長崎港に到着したが、すぐには江戸へ向かうことができず、メスゾウは三カ月後の九月に病気で死んでしまった。いざ、江戸へ向かって幕府関係者が出発したのは、翌年の一七二九(享保一四)年三月。道中の各宿場には、通行の際に騒ぎ立てないこと、竹の葉、青草、わら、水などのゾウの餌を用意し、丈夫な厩うまやをつくることなど、万全のお触れを出してゾウの旅を見守ったという。およそ一カ月、ようやく京の都にたどりつき、ゾウは当時の中御門天皇と霊元上皇に朝見したが、このとき問題になったのが、このオスゾウの位階である。当時、宮中は、無位無官の人が出入りすることは絶対にあってはならなかった。ゾウとて例外ではない。頭を悩ませた関係者が取った苦肉の策というのが、オスゾウに「従四位」を与えるというものだった。「広南従四位白象」と命名されたという。このときの様子は、随筆『視聴草』に収められている。その後、江戸に到着したゾウを将軍吉宗も上覧し、諸大名や徳川家の親族などの家門を回ったり、しばらくブームは続いたようだ。だが、このゾウの高位はいつまでも続かなかった。ゾウが江戸に到着して一年も経たない一七三〇(享保一五)年には、「ゾウを払い下げるので希望者は申し出るように」というお触れが出されたのである。経費削減や世話役が殺された事件など手を焼いたこともあったためらしいが、案外あっさりと見捨てられてしまったようだ。結局、引き取り手もなく、幕府の預かりとなったが、一七三二(享保一七)年にゾウの糞を黒焼きにして粉薬をつくるという農民三名があらわれ売却された。その後、一七四一(寛保元)年、粉薬販売をした三名の農民のうちの二名が、多摩郡中野村の農民の土地に幕府の負担でゾウ小屋を建てた。飼料代や薪など飼育費も一カ月につき金一二五両が与えられた。庶民の見物客は後を絶たず、三色饅頭も売れたという。とうとう一七四二(寛保二)年には、病にかかって死んでしまうが、死後も象骨として様々な場所で見世物興行は続けられたという。最後には中野村の宝仙寺の寺宝として永くお寺に納められることとなったが、第二次世界大戦で焼失してしまったという。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305