黒船
【くろふね】
【雑学大全2】 学校じゃ教えてくれない?! > 歴史
「まるで黒船来航だ」といった形容をするのは、それまでの価値観が一八〇度変わるような出来事に遭遇したときだ。確かに一八五三(嘉永六)年の、ペリー提督率いるアメリカ艦隊の来航は、日本にとってまさに歴史の変わり目となったに違いない。わが国は江戸時代の二五〇年ほどを鎖国政策で貫いていたため、唯一オランダ船が出入りしていた長崎以外の、それも江戸に近い浦賀沖に、四隻もの鉄の船が姿を見せるなど想像すらできなかったはずだ。しかし、どうやら、いま私たちが想像するほどの一大転換点だとは、幕府も庶民も受け止めてはいなかったようだ。浦賀には、すでに一八四六(弘化三)年、ペリーの前任者であるビッドルに率いられた二隻の船が来航している。ペリー艦隊より七年も前のことだ。寂しい漁村だったとはいえ、すでに「黒船来航」を経験ずみだった地元民たちは、少しも慌てたりはしなかったのである。ではなぜ、ペリーの場合だけが重大事として扱われるかといえば、結局は彼の来航が開国に結びついたからだ。ビッドルのときは、アメリカの通商申し込みを幕府が拒絶して、体制に変化がなかったのである。またペリーの来航についても、オランダ船を通じて持ち込まれる情報をまとめた『オランダ風説書』によると、アメリカ艦隊が上陸準備を整えてから日本に向かったという報告が記されている。情報の日付は、ペリー来航の一年も前のものだ。幕府にしてもその情報があったのだから、現実には大騒ぎをしたわけではなかっただろう。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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