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グッドイヤー
【ぐっどいやー】

雑学大全2ヒトの不思議 > 人物

ゴムを安定させる方法を発見したチャールズ・グッドイヤーという人物。長年にわたって研究を重ねて、ついに加硫法という方法を発見したのだが、それはまったくの偶然からであった。グッドイヤーは一八〇〇年にアメリカのコネチカットニューへブンで生まれた。彼の父親は金物製造工場を経営していたが、一八三〇年に彼も一緒に働いていたこの工場は倒産した。その頃彼は、気温が高いとゴムは変質して悪臭を放つし、寒いと硬くなりすぎてもろくなってしまうことをなんとかできないだろうかと研究していた。工場の倒産で、彼は破産者監獄に入れられていたのだが、そこで最初の実験をおこなった。ゴムの形状を安定させるために、インクチーズ、外用薬、ひまし油、さらにはスープまで、あらゆるものを混ぜてみて、ゴムの質がよくならないか実験したのだ。その後、再三の投獄にもめげずに独自で研究を重ねていくうちに、一時はゴム製品工場を立ち上げるまでになるが、これも恐慌によって潰えた。しかし、それでもあきらめず実験を続けているうちに、たまたまあるときストーブの上にゴムと硫黄を落としてしまい、硫黄をゴムに加えて熱する「加硫法」を発見するのである。しかし、ここからが彼の苦労の本当のはじまりだった。彼の話に耳を傾ける人はおらず、資金提供してくれる人はいなかった。しかも長年の研究で彼の体もむしばまれていた。彼の家族は子どもの教科書まで売り払い、まだ青いジャガイモを兄弟が庭で取り合っていたという。追い討ちをかけるように、二歳の息子が亡くなるという悲劇もあった。そして、さらに悲運は続く。まだアメリカで加硫ゴムの特許が申請中だった頃に、グッドイヤーのつくり出したゴムのサンプルを手に入れたイギリスの科学者トーマス・ハンコックは、そのサンプルに硫黄の匂いがするのを嗅ぎつけ、グッドイヤーの特許申請がイギリスに渡る前に、仮特許を得てしまったのだ。グッドイヤーは後にイギリスで特許を申請するときにそれに気づき、ハンコックと争ったが、ハンコックグッドイヤーサンプルを利用したことを認めたもののイギリスでの特許を主張した。しかし、グッドイヤーフランスに申請した特許が、ヨーロッパでは最初のものであり、フランスの皇帝ナポレオン三世は、その功績にパリ世界博覧会の栄誉金章とレジオン・ドヌール勲章を授与したという。その後、グッドイヤーは一八六〇年、ニューヨークで二〇万ドルの借金を背負って亡くなったという。晩年の彼の言葉が素晴らしい。「人間の生涯が満足できるものであるどうかは、金でのみ評価すべきものではない。自分が種をまいても、誰も刈り取ってくれる人がいないときほど悲しいことはないのだ」ちなみに現在の世界的ゴム会社、グッドイヤータイヤ・アンド・ラバーカンパニーは、もちろんこのチャールズ・グッドイヤーの名にちなんでいるのだが、一八九八年にフランク・セイバーリングが設立した会社であり、直接の関係はない。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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「雑学大全2」東京雑学研究会

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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305