ギロチン
【ぎろちん】
【雑学大全2】 社会 > 事件
一瞬のうちにスパッと首を切り落とす。それが、断頭台。すなわち「ギロチン」である。人間の命を数秒で奪ってしまうのだから、こんな残虐な機械を発明した人は、さぞかし冷酷な人間なのだろうと想像するのが当然である。しかし、ギロチン発明者の背景には、人道的思いが込められていたという説ある。この機械を発明したのは、パリ大学の解剖学教授でフランスの国会議員となった、ジョセフ・ギヨタン博士である。博士は、封建時代の残酷な処刑を廃して、もっと人道的な処刑方法をとるべきだと主張した。実験には、わらの束のほか、羊や何体かの死体が使用された。そして数えきれないほどの試行錯誤の末、一七八九年この「効率的」な死刑機は完成、喜んだ人々は素晴らしい死刑機に乾杯し、祝ったという。人の命を奪う代物に対して、祝杯をあげるというのもトンチンカンな話だが、これこそ博士が提案する「万人にとって平等で、できるだけ人間味のある」死刑機だったのだ。当時の死刑といえば、火あぶりである。じりじりと燃えさかる炎に、ゆっくりと体を焼かれていく恐怖。この生きながら火にあぶられ絶命していくという苦痛は、想像するに耐えない。それならば、一気に首を切り落としてくれるほうが、よっぽど楽なのかもしれない……。そう考えると、博士の理念もわからなくはない。しかし皮肉なことに、ギロチンが発明されたことによって、簡単かつ短時間に大量の死刑が可能になった。熟達した技術は要求されず、機械の使用法さえ覚えれば、誰でも確実に処刑できる。ある執行人は「一三分で一二人の首をはねた」と報告されているほどだ。フランス革命のときには、わずか三五日間に一八○○人もの首をゴロゴロと切り落としたギロチン。そのなかには、かの有名なルイ一六世や、その妻のマリー・アントワネットも含まれている。人道的な処刑を願って発明されたこの死刑機は、一九八一年の死刑廃止までのわずか二世紀の間に、数万人の首をはねた恐ろしい殺人機として変貌を遂げていたのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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