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キス
【きす】

雑学大全2ヒトの不思議 > 男と女

欧米では親愛の情をあらわす挨拶の一つであるキス。日本人にとっては、友人だからといってキスをするのは抵抗があるものだが、恋人同士なのにキスをしないという人はいないだろう。そういう意味では、シャイ日本人にとっても、キスは愛情表現の一つとして定着している。このキス、とてもロマンティックな行為に思えるが、そのルーツをたどると、少し奇妙である。そのはじまりは、相手の匂いを嗅ぎあうことだったのだ。少しリアルに想像すると、イヌやネコが互いにクンクンと相手の匂いを嗅ぎあっている、あの行為とそれほど違わないわけであるどうしてこうも動物は、匂いに対して執着するかというと、異性の魅力の大きな部分を匂いが占めているからという。心理学者のネッケによると、匂いを嗅ぐことが性感帯を刺激することにもなったという。だから人間同士の間でも、相手の匂いを嗅ぐことがはやったようだ互いに鼻と鼻を合わせたり、相手の身体の匂いを嗅ぐことを嗅覚接吻という。昔ほどではないにしても、いまでも気づかぬうちに、相手の匂いに幻惑されている部分は、意外と多いのかもしれない。さて、日本人が、いつからキスをはじめたのかは定かではないが、江戸時代のオランダ人による日本研究書に、「日本にはキスの習慣がない」と書かれているから、江戸時代まではキスは定番の行為ではなかったようだ。ちなみに、キスを「接吻」と訳したのは、江戸時代のオランダ商館長ヘンドリック・ドゥーフ(オランダ語辞典『和蘭字彙』の編者)で、一方、キスを「口づけ」としたのは、詩集『海潮音』の訳者、上田敏だとされている。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305