傘
【かさ】
【雑学大全2】 生活 > モノ
いまでは、天候の悪いときに使うものとして、私たちの生活のなかでは当たり前の存在になっている「傘」。とくに日本はジトっとした湿った雨の多い国。傘をよく使う国でもあり、年間の消費量は約七〇〇〇万本もあって、世界有数の消費国であるという。実はこの傘、もともとは雨をよけるためにつくられたわけではなかった。雨よけのための発明品だとばかり思っていたが、その目的は違っていたようなのだ。そのもとは、影をつくるためのいわゆる「日傘」。英語で傘をあらわしている「アンブレラ」という言葉も、語源はラテン語の「umbra」で「影」という意味。影をつくるための発明道具だったのだ。メソポタミアなどの古代オリエント文明の時代からあるもので、当時は権力者の権威の象徴だった。偉い人しか使ってはいけないものだったのだ。形もいまのような開閉式ではなく、開いたままの形にしかできなかった。その後も日傘だけの歴史は続き、一三世紀にはいると開閉式の傘がイタリアでつくられた。はじめは、傘は女性の日よけの役割、もしくはアクセサリーの用途が主だったため、男で雨よけの道具として使った人は、変人扱いされたという。それでは、雨傘として使われるようになったのはいつ頃かというと、一八世紀に入ってからで、ヨーロッパで使われはじめたらしい。有名なのはイギリスの旅行家ジョナス・ハンウェー。彼がペルシア旅行の最中に雨傘として使われているのを見て、それまでの傘に防水加工をしてロンドン中を歩いて回ったという。彼は旅行家でもあり、著述家でもあり、商人でもあった。その後、一九世紀にはイギリスで紳士が使うアイテムとして世の中に広まった。だが、イギリスでは、基本的には使うものでなくステッキ同様に見せるもの。きっちりと細く巻かれているのが格好よく見えたのであった。むしろ実用品として使われるのは日本のほうが断然多い。それは気候の違いからだ。イギリスは霧雨状の雨が多く、日本のような強い雨がほとんど降らない。日本には幕末の一八六〇年頃に入ってきた。勝海舟や福沢諭吉などが渡米して帰国する際に持ち帰ったといわれている。こうして傘は段々と広まり、高級なパラソルから、徐々に身近な日用品になっていった。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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