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ウマ
【うま】

雑学大全2生物の不思議 > 動物

ウマやウシやブタなどの家畜。昔から人々の生活に密着して久しいので、家畜として同じ種類のように扱われているが、このうち、ウマだけが別の起源を持っていて、ウシやブタよりもイヌ・ネコ・コウモリに近い動物であることがわかった。東工大大学院教授の岡田典弘氏らによる遺伝子(DNA)分析で、二〇〇六(平成一八)年にアメリカ科学アカデミーの紀要電子版に発表された。それまで、ウマ、ウシ、ブタが同じ仲間として扱われていたのは「ひづめ」があるから。ところが哺乳類のひづめには複数の起源があることがわかり、哺乳類のなかでの位置づけが難しかったコウモリの起源までわかってしまったというのだ。研究チームは、進化の過程でDNAに入り込み、そのまま子孫に伝わっていく「レトロポゾン」といわれる短い配列を手がかりにして哺乳類全般の遺伝子を分析し、過去のデータにくわえて、新しく、ウマ、イヌ、ネコの仲間(食肉目)、そしてコウモリに特徴的なレトロポゾンが入っていることがわかったのだ。この結果から導き出された結論は、ウマは進化の過程で、まず「ウマ・食肉目(犬猫の仲間)・コウモリ」の共通の祖先がほかの哺乳類から独立し、コウモリはコウモリに、食肉目は食肉目に、ウマはウマになってひづめが発達したという歴史をたどったということになり、ウシやブタと共通の祖先から分化したわけではないということなのだ。疑問が残るのは、「同じ祖先から、空を飛ぶコウモリや、陸を早く走るウマ、などと多様化したのはなぜか」ということなのだが、これに関しては、大陸の分裂などで、このグループに関しては、環境が孤立する出来事などがあって、まったく違う方向に進化していったのではないかと推測されている。岡田教授らのグループでは、この「ウマ・食肉目・コウモリ」の三系統をまとめて「ペガソフェラエ類」と名づけた。由来は、翼を持つ想像上の動物ペガサスと食肉目の仲間をさす言葉からである。また、同じレトロポゾンを追い掛ける遺伝子研究では、それまでメソニクス(絶滅した哺乳類)が主として枝分かれして水中で生活するようになったものと考えられていたクジラは、レトロポゾンを持っておらず、これはカバの系統で、ラクダ→イノシシ→シカの順で進化していき、最後にカバとクジラに分かれたと発表されている。この岡田教授らの発表は当時大ニュースだったが、それを受けて考古学者などが検証をした結果、臓器などのつくりや生殖機能などを比較検討して実証され、いまでは「クジラとカバ兄弟説」が支持されている。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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