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そばの色香
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東京-五つ星の蕎麦コラム > そばの愉しみ

そばのいいのは、秋深くから冬にかけてだろう。新そばのころは、昔からそば好きには嬉しい時節だった。いまや科学技術の進歩の恩恵は、そばの世界にももたらされた。玄そば(殻のついたままのそば)を低温恒湿倉庫できちんと存することにより、私たちは、香り高いそばを一年中味わえるようになった。

美味しいそばの条件に「三たて」というのがある。「挽きたて、打ちたて、茹でたて」である

茹で上がったそばの味は淡いが、艶があり、そばの角が立って瑞々しく、殻の直ぐ下にある香りが活きている。しかし、時がたつにつれて、艶、香り、腰、喉越し、味が、急速に失われてゆくのだ。

だから、そばの食べ方の作法には道理がある。そばがあれほど長いのも、堅すぎてはいけないのにも、道理がある。箸で、すうっと持ち上げ、端を僅かにつゆに浸し、すすり込む。そばが喉元を通りすぎると、ほのかな後鼻香が戻ってくる。うどんにはあり得ない、完全にはしなやかならざる強張り、それにかすかなざらつきが、そばの、えもいわれぬ感触を、口に喉に持続させる。と、突如、甘辛いつゆが、きりっと舌に響き、いい出し汁味わいが充実感となって、余韻をかもす。この階調とリズムこそ、江戸っ子という都会人が、時を費やして練り上げてきた美意識ではなかろうか。


東京書籍
「東京-五つ星の蕎麦」
JLogosID : 14820744


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東京五つ星の蕎麦

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【この辞典の書籍版説明】

「東京 五つ星の蕎麦」見田盛夫/選

並木藪蕎麦、巴町砂場、神田まつやなど伝統の技が味わえる名代の老舗から、進化し洗練された蕎麦でたちまち有名となった新鋭店まで、都内と近県の118の名店を料理批評家・見田盛夫が厳選。蕎麦の基礎知識や全国の名店217軒の情報も付いた、蕎麦好きのバイブル。

出版社: 東京-五つ星の蕎麦[link]
編集: 見田盛夫/選
価格:1836
収録数: 217軒368
サイズ: 19.8 x 12.2 x 2.2cm
発売日: 2006-12-01
ISBN: 978-4-487-80147-3