薮伊豆総本店
【やぶいずそうほんてん】
【東京-五つ星の蕎麦】 伝統の味を守る歴史ある名店11軒 > 中央区
江戸時代末期から、すでに京橋で繁盛していたそば屋「伊豆本」が、明治15年(1882)にかんだやぶそばの暖簾に包含された。そこで伊豆本の伊豆に「薮」をつけ、以後、「薮伊豆」となって今日まで続き、現当主の野川喜央さんで六代目を数える。
昭和30年、四代目喜八に藍綬褒章、平成3年に五代目康昌に勲三等が授与されたが、「そんな祖父や父に跡を継げと言われたことはありません」と喜央さん。大学卒業後、某デパートに勤務していたが、「ただ薮伊豆の歴史を守るために」昭和58年(1983)から薮伊豆の仕事に専念することになった。
平成8年、店を京橋から現在地に移した。平成13年には店の入り口脇に粉挽き小屋を建て、蟻巣石と呼ばれる最高の石臼を購入し、主人自ら自家製粉を開始した。この石臼を使うと、そば粉のダメージの原因となる粉焼けをおこさないという。
〝安く、おいしい〟をモットーに、その日挽いた粉を、その日のうちに打って、茹でたてを出す。
そばは二八で打ち、たんぱく質の多い甘皮も含まれているので、甘みがあり栄養価も高い。老舗の看板にとらわれず、せいろ420円と安価。味の源ともいうべき水は、麺を打つときも茹でるときも、つゆもお冷も、すべてマイナスイオン水を使用。そばつゆも、吟味した鰹節でダシをとった手を抜かない味に仕上げている。
薮伊豆のビルは鉄筋9階建て。そのうち3階までが店舗になっていて、1階は小ぢんまりとした雰囲気のテーブル席のみ。2階は少し広めのテーブル席のほか、掘りごたつ式の小上がりがあり、3階は床の間付きの座敷。店内は和風情緒たっぷりだ。
3階の座敷では平成10年3月から奇数月ごとに「落語とそばの会」を開催しており、すでに50回を超えた。この会は、先代が故柳家小さんの後援会長をしていた縁で始まり、高座に上るのはいつも柳家花緑(小さんの孫)だ。花緑の落語を至近距離で楽しみ、そば会席を味わう粋な時間が過ごせる。毎回好評なので、予約は早めに。
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【この辞典の書籍版説明】
「東京 五つ星の蕎麦」見田盛夫/選 |
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並木藪蕎麦、巴町砂場、神田まつやなど伝統の技が味わえる名代の老舗から、進化し洗練された蕎麦でたちまち有名となった新鋭店まで、都内と近県の118の名店を料理批評家・見田盛夫が厳選。蕎麦の基礎知識や全国の名店217軒の情報も付いた、蕎麦好きのバイブル。 |
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東京-五つ星の蕎麦[link] |