▼縛っておかないと喧嘩をして爪がもげてしまう
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【旬のうまい魚を知る本】 >
室津では小型底曳漁法でワタリガニを漁獲する。ほとんどの時期は「ソロバン」と呼ぶソロバンに似た道具で海底を掻いて、袋状の網に入れる漁法をとっている。冬期だけはワタリガニが砂地や泥地に潜っていることもあり、「マンガン」とよぶ鉄製の熊手に似た道具で海底を深く掻いて漁獲する。そんな小型底曳船が、さして大きくない室津漁協に90隻以上も所属しているのだ。
主な漁場は室津漁港から漁船で20分ほど走った家島北側海域。出漁は早朝の4時半。多くは一人で乗り込む。ワタリガニを漁獲すると船上でほかの魚介と分け、一杯ずつゴムバンドや自転車のチューブの輪切り、タコ糸などでたすき掛けに縛る。「縛っておかないと、カニ同士で喧嘩をして爪がもげてしまうからだ。水揚げしたあとも扱いやすいから、縛っておくと仲買人にも評判がいいよ。これを一人でやるんだからカニ漁は忙しい」。こう説明してくれたのは、ワタリガニを水揚げして、室津港で一服していた漁師だった。
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【この辞典の書籍版説明】
「旬のうまい魚を知る本」東京書籍 |
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季節別旬魚の解説,全国地域別旬魚カレンダー,代表的漁港マップに加え,魚の構造や通の食べ方などのコラムも充実。鮨屋,レストランなどで魚を語れる人になるためのバイブル。 |
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