地名
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 地理 > 場所
変わった地名は数々存在すれど、宮崎県川南町にある「トロントロン」という地名は横綱級かもしれない。日本の地名でありながら、その語感は外国語のようであり、片仮名で書くところもすこぶる珍しいのである。
どうして、こんな名前がついてしまったのだろうか。
一八七七(明治一〇)年のこと。西郷隆盛を中心とした旧薩摩藩士たちは、明治政府と正面から衝突。反政府暴動として西南の役が勃発した。
熊本県の田原坂で、官軍に敗れてしまった西郷軍は、鹿児島を目的地として南へ南へと敗走していた。高千穂から延岡を経由して、この地を通ったときに、戦いに疲れ果てていた西郷隆盛の耳に、泉からわき出る水の音が「トロントロン」と響いたという。
政府との対立、それに対する反発、そして、意を決しての反乱……。今でいえば戦争で荒れた西郷の心を、水の優しい音は癒してくれたのだろう。その耳に鳴り響いた「トロントロン」という音がそのまま地名になったという説がある。
そのほかにも、江戸時代、参勤交代で一休みした一行が、この泉からトロトロとわき出る水を口に含んだところ、あまりのおいしさに驚いてこの名前がついたという説もある。「トロトロ」の水がやがて「トロントロン」と呼ばれるようになったというのである。
いずれにしても、トロントロンは、美しい水の音。癒しの地名なのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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