タイ
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 地理 > 国・島・都市
誕生日に赤飯とともに準備されるタイの尾頭付き。病人に体力をつけさせようと、調理される白身の魚タイ。このようにタイは私たちの生活の中で、だいたい特別なときに食膳に上る魚である。昔も今も、特にめでたい席の祝膳にはつき物である。
縄文人はマダイを食べていたと推定されている。神話にも「赤女」という名で登場する。また、平安時代には、タイのことを「平魚」と書いていた。扁平な形から名づけられた「タイラウオ」を略してタイとなったとも言われている。
タイと一口にいっても、マダイ、アマダイ、イトヨリダイ、キンメダイ、ブダイなどいろいろあるが、タイといえば普通マダイを指す。マダイの特徴は、タイ類の中で最も大きいこと。全長一メートルになるものもあるという。赤い色が美しく、姿とともに味も優れている。短命の魚が多い中、タイは長生きで、四〇年も生きるものがあるという。おまけに多産である。白身なので焼くと長持ちし、生臭くないのも、好まれる理由である。さらに、語呂合わせにより「タイ」を「めでたい」に結びつけ、祝儀の魚になったと考えられる。
縄文の昔から食べられていたとはいえ、タイが魚の王様になったのは江戸時代であった。室町時代までは、コイが最高位の魚だったようだ。特に、内陸の京都では、新鮮な魚を入手しにくかった。そこで川魚のコイということになったのだが、これには中国の影響が大きいという。『本朝食鑑』という元禄時代の本には、タイは魚類の第一のものとある。めでたいときの贈り物には、干鯛が喜ばれたようだ。
「二三軒つとめて鯛は暑にあたり」「くさっても鯛は四五軒つとめて来」といった川柳に見られるように、たらい回しにされて少々傷んだものでもタイはタイと喜ばれた様子がつたわってくる。
「エビで鯛を釣る」ということわざは、現代人にもおなじみのものだが、エビを食べて成長したタイは、イワシで育ったものよりおいしいそうである。
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