象
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 動物
象の長い鼻は、とても便利にできている。食べ物を口に運んだり、振り上げて敵を威嚇したり、水を吸い込んだりと、何とおりもの働きをしているのだ。
もし、あの鼻がなかったら、象はいちいち座って食べ物を食べたり、水を飲んだりしなければならない。いくら足が太くて丈夫でも、あの巨体をその度ごとに上下させるのでは、大変な負担である。あの鼻がなかったら、象は生きてはいけないだろう。
ところで、私たち人間が、鼻から水を吸い込んだりしたら、激しくむせて痛みを感じる。象は、一度に五~一〇リットルもの水を吸い込んでいるそうだが、痛くないのだろうか?
私たちがむせるのは、吸い込んだ水が気管に入ってしまうから。ところが、象は、気管の手前で水を止めるテクニックを持っているので、平気なのである。
象の鼻は、人間のものと違って、骨も軟骨もない。また、人間の上唇にあたるものも、鼻と合体しており、四万本もの筋肉でできている。そのため、あれほど器用に動かすことができるのである。
鼻の先端には、指のような役目をする突起があるので、リンゴなどを上手につかむことができる。さらに、そこには痛みを感じる神経がないので、ちょっとやそっと乱暴に動かしても、平気なのである。
一方、生まれたばかりの子どもの象は、水を吸ってはときどきむせている。これは、どの程度まで水を吸っていいのかわからず、気管に入れてしまったためと考えられる。大きくなるにつれてむせなくなるところを見ると、成長の過程で、どこまでなら吸っても大丈夫なのか、経験を積んで学習しているのだろう。
水浴びしている象が、自分の鼻から水を吹き上げ、シャワーのように浴びていることがあるが、あれも、気管の手前でいったん止めて、鼻に溜め込んだ水である。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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