キリン
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 動物
長い首がトレードマークのキリンは、動物園の檻からも、あの首だけをニューッと突き出して、子どもたちの人気を集めている。ところで、どうしてキリンは、あんなに首が長いのだろう?
哺乳類の首の骨、頸椎の数は七つである。
キリンは最も背の高い哺乳類で、それも、あの首と足の長さによるものである。頸椎の数は、例外で多いだろうと思うところだが、やはり七つなのである。突飛な理由の結果として首が長くなったのではないという。
考えられる理由の一つは、首が長ければ遠くにいる敵を発見しやすいということである。キリンはウシなどと同じ偶蹄目で、戦う武器を持たない弱い動物で、肉食動物の餌食になりやすい。そこで、高い位置から周囲を見渡して、敵を発見したらいち早く逃げ出すというのだ。長い足も、逃げるのに適している。
もう一つの理由は、高いところにある木の葉を食べるのに都合がいいというものである。キリンの祖先と考えられるパレオトグラスという動物は、緑豊かな草原に住んでいた。これだけなら、エサは豊富であり、何も長い首を持つ必要はない。ところが、二〇〇〇万年ほど前に、大規模な干ばつや山火事で、そこは植物がまばらにしか生えないサバンナになったと思われる。そこでキリンは、生き延びるために高いところにある木の葉を食べなくてはならず、首が長くなったというものだ。
首が長くなっていった経緯については、一八~一九世紀のフランスの生物学者ピエール・ラマルクによる「用不用の説」がある。
生きるのに必要な機能は進化し、不必要な機能は退化する。キリンの首は、親から子へと、何世代も経つうちに長くなったのであろう。
また、『種の起源』のダーウィンは、生存に有利な者だけが生き残ったと考えた。少しでも長い首を持ったものが生き残ることができ、その結果、すべてのキリンの首が長くなったとも考えられる。
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