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電力量計
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2暮らしに見るモノの技術 >

家庭で利用した電力は積算電力量計(略して電力量計)で測られる。家の外壁に取り付けられていて、円板がクルクル回るのが見える、あの計器である。しかし、そもそもどうやって使用電力を正確に測定しているのか。そして、あの円板は何の意味があるのか。その秘密を見てみよう。電力量計は、物理学で有名なアラゴの円板と呼ばれる現象をたくみに利用している。アラゴの円板とは、糸で吊るされた何の変哲(へんてつ)もないアルミの円板の下で磁石を回転すると、円板がつられて回転し始める現象をいう。鉄の円板ならば当然だが、磁石とは縁がないアルミ板が磁石の影響を受けるのだ。電力量計でクルクル回っている金属板は、このアルミの板なのである。アラゴの円板の現象は電磁誘導の法則で説明される。他項でもたびたび登場するこの法則は、「変化を減殺(げんさい)する方向に電気現象は起こる」ことを説く。この場合、磁石の進む先では円板上の磁力が増えるが、この法則のためにそれを減殺しようとする渦状の電流が円板の中に生まれる。この電流が作る電磁石が回転する磁石と作用し、円板を回すのである。電力量計では、回転する磁石などない。その代わりに、相当する働きをするコイルをアルミ円板の上下に配置している。上と下でコイルに流す電流のタイミングをずらし、回転磁石に相当する磁力を電磁石で生んでいるのだ。しかも、このコイルは屋内配線に通じている。電気をたくさん使えば、それだけコイルを流れる電流が増え、強い電磁石を生み、円板が速く回転することになる。この回転数を計れば、使用電力が算出されるわけだ。電力量計では、アラゴの円板の現象がもう一つ利用されている。中のアルミ円板は、先のコイルの電磁石とは別の制動磁石と呼ばれる永久磁石で挟まれているのだ。制動磁石は、円板が空回転しないようにブレーキの働きをする。この制動のしくみも、アラゴの円板と同じである。


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美

大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください!

出版社: 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link]
編集: 涌井良幸・涌井貞美
価格:648円+税
収録数:
サイズ:
発売日:
ISBN: 978-4806148029