電動アシスト自転車
【】
【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 乗り物に見るモノの技術 >
1993年(平成5)に第1号車が発売されて以来、一時的な停滞(ていたい)はあったものの、電動アシスト自転車は年々売り上げを伸ばしている。免許が不要で従来の自転車のように手軽に乗れる、などが人気の理由だ。電動アシスト自転車は、さまざまな現代技術の集大成といえる。上(のぼ)り坂ではペダルを踏む力を助けてくれるが、その力を提供する電動モーターは軽量コンパクト。これは、中国との政治問題で有名になったレアアースを利用した強力なネオマグ(68ページ)のおかげだ。さらに、このモーターに電力を供給するのは、最近話題のリチウムイオン電池(64ページ)である。まさに現代技術の粋を集めたコラボレーションで、電動アシスト自転車は快適な乗り物になっているのだ。ところで、高機能の電動アシスト自転車には発電機能が搭載(とうさい)されている。下り坂で充電ができるのだ。ちょうど、人をエンジンに見立てたハイブリッドカーのようになっているのである。電動アシスト自転車は電動自転車(つまり電動バイク)ではない。道路交通法の制限があるからだ。法律では、電動アシスト自転車を「人の力を補うための原動機を用いる自転車」と定めている。人の力を補う以上の原動機を搭載してはならないのだ。「人の力を補うこと」の意味をもう少し詳しく説明しよう。例えば、時速10キロ以下では、人力を1とした場合、最大2までしか補助してはならない。また、時速24キロを超えると補助をしてはならないとの規定もある。踏み出したときの低速時には強くアシストし、ある程度スピードが出たらアシストをなくすよう定められているのだ。こうしたデリケートなチューニングを実現するには、ペダルを踏み込む力や走行スピードを検知するセンサーが必要である。また、それらの情報をもとにモーターをコントロールする制御用コンピューターも不可欠だ。こうした技術が相(あい)まって、現代の電動アシスト自転車が存在しているのだ。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
|
大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
|
出版社:
雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link] |