イタリアワインの基礎知識
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"イタリアワインを理解しようとすればするほど、種類の多さ、独自の個性とそのおびただしさにめまいを覚える。イタリアにもワイン法は存在するものの、それにこだわるイタリア人はあまりいない。最初はある程度メジャーなワインで基礎を押さえ、徐々に応用編へ、あとは乱飲みでもよいから経験値を重ねてゆくと、理屈はよくわからなくても、なんとなく体がイタリアワインを理解してくるようになるはずだ。イタリアは郷土料理も充実している。イタリア人にいわせれば「イタリア料理なんてない。あるのは各州の料理だけ」というくらい郷土色が豊かであり、その料理には間違いなく同じ土地のワインが合う。近年、日本でもバラエティに富んだイタリアワインが楽しめるようになった。イタリアはよくも悪くも「いい」加減。格付けと形式にとらわれすぎず基本を押さえたら、あとは自分流儀で隠れた名品との出会いを楽しみたい。
おもな産地
【ピエモンテ州】
イタリアを代表する銘醸地。主要品種はバローロ、バルバレスコを生むネッビオーロ。最近はアルネイスなど個性ある白も注目されてきている。
【トスカーナ州】
キャンティやブルネッロ ディ モンタルチーノは、地元品種でつくられる州の代表的な赤。一方でフランス系品種を主役に格付けにとらわれない「スーパー タスカン」がこの地で生まれた。
【ヴェネト州】
ソアーヴェなど、濃すぎず、ソフトでやさしいタイプが多いが、アマローネのように厚みを備えた赤もある。
【南イタリア】
全体に日常ワインとして楽しめる陽気なワインが多いが、近年、高級ワインの生まれる気運も高まっている。
格付け
最上級ワインのDOCG(統制保証原産地呼称)を頂点に、それにつぐDOC(統制原産地呼称)ワイン、産地表示付きのテーブルワインIGT、産地表示のないテーブルワインVdT(ヴィーノ・ダ・ターヴォラ)のカテゴリーがある。2009年8月のEUワイン規定の改正に準じて、DOCGとDOCが統合されてDOP(保護原産地呼称)に、IGT⇒IGP(保護地理表示)に、VdT⇒Vino(ヴィーノ)に変更されている。
イタリアのぶどう品種
ぶどう品種の多様性という点でワインを語り始めたら、おそらくイタリアの右に出る産地はないのではないか…と思うほどその種類は多い。「ぶどう品種の世界最大の貯蔵庫」ともいわれ、その数は2000種をこえるという説もある。イタリア各地に長く生き続けてきたそれらの品種は、イタリア人が誇るイタリアワインらしさの象徴でもある。そのほんの一部、知名度の高い在来品種をあげてみよう。
■ネッビオーロ(赤)
世界最高の赤品種に数えられる。ピエモンテ州が誇るバローロ、バルバレスコなどに使われ、十分なタンニンと酸が得られるため長命なワインを生む。ぶどうの名は、晩秋のネッビア(霧)が出始める時期にぶどうを収穫することに由来する。
■バルベラ(赤)
ピエモンテ州が主産地。タンニンは少なめで酸が強く、しっかりとした果実味豊かな味わいを生む。
■ドルチェット(赤)
長きにわたりバローロやバルバレスコの産地であるランゲ地区で、日常のワインとして飲まれてきた伝統品種。いきいきとした果実味にあふれている。
■アルネイス(白)
近年復活を遂げて成功している品種。おもに砂地で栽培され、近年人気の高まっているロエロ アルネイスの主原料となる。
■コルテーゼ(白)
ピエモンテ州がおもな産地。ワインではガヴィが有名。
■サンジョヴェーゼ(赤)
イタリアを代表する品種で、とくにトスカーナ州で主要な位置を占め、キャンティ クラシコなどを生む。
■ガルガネガ(白)
ヴェネト州で多く栽培され、ソアーヴェなどに使われる。
■コルヴィーナ(赤)
アマローネなどの原料に使われる。
■フリウラーノ(白)
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州が主産地。ミネラル感のしっかりした辛口の白ワインを生む。
■ランブルスコ(赤)
エミリア・ロマーニャ州が主産地。おもに弱発泡性の赤ワイン、ロゼの原料として使われる。
■アルバーナ(白)
エミリア・ロマーニャ州の伝統品種。DOCGの「アルバーニャ デ ロマーニャ」の主原料。
■トレッビアーノ(白)
中部イタリアが主産地。おもに若飲みタイプの原料となる。
■モンテプルチアーノ(赤)
アブルッツォ州が主産地。同ワイン名の主原料となる。
■アリアニコ(赤)
南部とくにカンパーニャ州やバジリカータ州で栽培される。濃厚で個性の強い赤ワインとなる。
■プリミティーヴォ(赤)
プーリア州が主産地。
■グレコ(白)
ギリシャが起源とされ、おもにカンパーニャ州で栽培される。この品種による代表的ワインはDOCGの「グレコ ディ トゥーフォ」。
■ヴェルメンティーノ(白)
サルディーニャ州、リグーリア州などがおもな生産地。ハーブの香りなどを含むフレッシュな味わいの白を生む。
■ネロ・ダーヴォラ(赤)
シチリアを代表する赤の地元品種。
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【この辞典の書籍版説明】
「ワイン手帳」熊野 裕子 |
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産地別の構成で、各産地の基礎知識をはじめ、スタンダードな銘柄の品種、ボリューム感、甘辛度、価格の目安がひと目でわかるほか、それぞれの銘柄の特長を解説します。 |
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