コミュニティ道路
【こみゅにてぃどうろ】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
幹線道路が渋滞すると、それを避けるために、車が生活道路に入り込んでくる。また、その地域に用もない車が、近道になるからと通り抜けていく。違法駐車も後を絶たない。そのため、子供や老人が事故に巻き込まれ、思わぬ悲劇を招くこともある。騒音や排気ガス公害も深刻だ。その地域の道路はその地域に住む人々のものだとの考えに基づいて、生活道路から車を締め出し、人々の安全と生活環境を守ることが、コミュニティ道路の整備目的である。
車を締め出すといっても、歩行者天国のように、車を完全にシャットアウトしようとするものではない。人と車の共存とでもいうか、歩行者が安心して歩けるように歩行スペースをたっぷりと取り、車道にはクランクをつけたり、所々で車道幅を狭くしたり、車道に凸凹をつくったりして車のスピードをダウンさせる。そうすることによって、生活道路への車の進入を抑制しようというのだ。樹木を植えて環境にも配慮し、歩行者が安心して歩ける空間を確保する。
日本で最初のコミュニティ道路は、昭和五五年に大阪市で誕生した。阿倍野区長池町の幅員一〇mの市道である。
この道は、整備前は歩道のない対面通行の道路で、違法駐車が道路を埋め尽くしていた。通り抜ける車は制限速度も守らない。そのため、歩行者は絶えず車の脅威に怯えながら歩かなければならなかった。ところが、整備後は通行車両がめっきり減った。この地域に用のない通り抜け車両が、いかに多かったかの証明でもある。また、車のスピードも遅くなり、違法駐車も激減するなど大きな成果があった。
長池町のコミュニティ道路を手本として、全国各地の都市で生活環境を守る道路づくりが進められている。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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