階段国道
【かいだんこくどう】
【道と路がわかる事典】 2章 国道・高速道路の雑学 >
ひと口に国道といっても、道路幅が一〇〇mもあるような交通量の激しい道路から、未舗装のでこぼこ道もある。でも、車が通るようにできていれば、道路といわれてもおかしく思うことはないだろう。
しかし、国道のなかには「道」と呼べるのかも考えてしまいそうなものがある。とりわけ一番の変わりダネは、何といっても階段国道だろう。その名のとおり、階段が国道という全国でも唯一のもので、青森県の津軽半島最北端の、竜飛崎(たっぴざき)近くにある。
津軽半島の東岸を北上していくと、やがて国道三三九号は、車も通行できない細い路地となり、集落を抜けると忽然と階段が現れる。階段の麓には国道の標式と、その下には「階段国道」と表示されたプレートがついている。紛れもなく、この階段は国道なのである。三六二段、標高差約七〇m。岬の麓から灯台のあるところまで、この階段国道が続いているのだ。階段を上り詰めると、視界が一気に開ける。眼下には津軽海峡の青い海が広がり、晴れた日には、対岸の北海道が見える。
この路線が国道に昇格したとき、階段部分も整備するはずだった。しかし、その後の調査で、階段部分に道を通すには傾斜がきつすぎるため、ループにするかトンネルを掘るか、何らかの手立てを講じなければ困難だという結論に達した。そのため、階段の手前にある迂回路を、国道として整備したらどうかという案も出たが、それだと階段は国道でなくなる。それより、階段をそのまま残し、観光スポットとして売り出した方が得策だということになった。
何てったって全国にここだけという珍しい階段国道である。そこで、階段に手すりをつけるなどして、国道を車道としてではなく、歩道として整備した。その甲斐あって、遠方からも観光客がやってくるようになった。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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