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二十四節気②
【にじゅうしせっき】

暦の雑学事典1章 暦の常識・非常識 >

◆二十四節気の季節感のずれは暦とは無関係
 グレゴリオ暦を使用している現代の日本でも、二十四節気はすたれずに残っている。しかし、二十四節気の名称が意味するところは、現実の日本の季節感と必ずしも合致せず、「今日は立秋、暦のうえでは秋ですが、残暑なお厳しく……」などというのは、お天気ニュースキャスターの半ば常套句にさえなっている。
 しかし、季節感とのずれの責任を暦に負わせるのはお門違い。確かに八月八日頃の立秋はまだ秋らしくないが、だからといって、これをずらせば夏至・冬至もずれてしまうことになる。また、季節感とのずれは明治改暦によって生じたわけでもない。旧暦においては二十四節気の日付は毎年、大きく変動したが、現行のグレゴリオ暦では一日程度のずれしかないからだ。
 二十四節気は太陽が黄道を一年間で一周することから、黄道に設けた二四の目印に、季節の名前を与えたもので、日付によって一年を表わす暦とは直接の関係はない。どのような暦を使おうとも、二十四節気のそれぞれは、太陽観測によって一年のある時点に決まってしまうのである
 したがって、立秋が立秋らしからぬのは、「暦のうえの秋」だからではなく、「言葉のうえの秋」だからだ。これは二十四節気の名称が、もともと北海道同じくらい寒冷な中国・華北地方の気候に基づいてつけられたことによる。
◆二十四節気をさらに三等分したのが七十二候
 中国では二十四節気のおのおのをさらに三等分した七十二候というものが考案された。たとえば、正月節を初候、次候、末候と分け、それぞれ「東風解凍(とうふうこおりをとく)」「蟄虫始振(ちっちゅうはじめてふるう)」「魚上冰(うおこおりをのぼる)」と呼ぶといったぐあいである
 七十二候は五日ごとに変わる。季節変化を五日単位で表わすこと自体に無理があるのだが、江戸時代の渋川春海(貞享暦の作成者)は中国の七十二候に安直な修正を加えて、本朝七十二候なるものを考案した。しかし、和風のネーミングではなく難解な漢語を使ったものなので実用からはほど遠く、現在で生き残っているのは、七月初めの半夏生ぐらいなものである。しかし、たとえ七十二候は忘れられても、おそらく二十四節気はこれからも使われつづけるだろう。日付と曜日で表わすカレンダーには季節感がないが、二十四節気というのは地方差はあるとはいえ、すぐれた季節暦となるからだ。小雪、大雪といった一部の名称がそぐわないのなら日本式に改めればよい。また、太陽暦の暦法を理解するうえでも二十四節気は便利な教材である。もし将来、世界的な大改暦があるとしたら、二十四節気に基づく一年二四か月の暦が提案されてもよい。それはともかく、労働時間短縮と内需拡大のため休日を増やそうという動きもあるようなので、いっそのこと二十四節気のすべてを国民の祝日にしてはどうだろうか。


日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「暦の雑学事典」吉岡 安之

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出版社: 暦の雑学事典[link]
編集: 吉岡 安之
価格:1404
収録数: 198221
サイズ: 18x13x1.8cm
発売日: 1999年12月
ISBN: 978-4534030214