経絡の作用
【けいらくのさよう】
【東洋医学のしくみ】 5章 鍼灸と気功の世界 >
◆生理作用-昇降出入通路になって調節する
経絡には「生理」「病理」「治療」の3つの作用があります。
生理作用というのは、気・血の「昇降出入」の通路になってその調節をする作用です。
臓器と五官のつながりでは、目の異常から逆にたどって肝の失調を疑うというように、五官九竅を観察して診断することもあります。これは経絡の生理作用があって、初めて可能になることです。
◆病理作用-病邪も経路を流れる
病理作用は、六淫など病邪が経絡をたどって体内に入ってきたり、体内を移動したりする可能性があることをいいます。
感冒の初期段階では体表面の内外で、中に侵入しようとする病邪と、入らないように防御しようとする正気(衛気)との間で、攻防が繰り広げられます。そこで治療に際しては、病邪が体表面の穴から入らないうちに追い出すということを行うのです。
初期治療に対し、病邪が内側に入り込んで長引いてしまったときは、体内で対処したり大小便にして外に出すという治療を行います。このとき、病邪が侵入後に人体各部に広がっていく通路としても、経絡が使われています。
また、外邪に限らず体内で起こった病気についても、経絡を伝わって別の部位に症状が出てくる場合があります。
◆治療作用-治療効果を患部に伝える
3つ目の治療作用というのは、治療の効果が経絡を通って治したい部位に届くという意味です。
もっともわかりやすいのは、針による治療のケースでしょう。足に針を打つと頭の症状に効くというのは、経絡の「上下を通じる」を利用したものですし、体表に針を打って体内の臓器を治療するのは「内外を貫く」の利用です。
また、漢方薬のところで説明した「帰経」(薬物帰経。薬草によって効果の出やすい部位が決まっていること)も同様で、薬を処方するときに効果を特定の経絡へ誘導する目的で使われる「引経薬」と呼ばれる薬草まであるのです。
一般的には、鍼灸というとすぐに「ツボ」を重視しがちですが、本当に重要なのは経絡であり、経絡があるから鍼灸や漢方薬が生きるのだと考えてください。
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