メダカ①
【めだか】
【雑学大全2】 生物の不思議 > 魚類
一九九四年七月に飛び立ったスペースシャトル「コロンビア号」。このときの宇宙飛行士、向井千秋さんは四匹のメダカを宇宙へ持って行った。宇宙でメダカが産卵行動をとることができるか、産卵された卵が正常に孵化することができるかどうかを調べるためであった。果たして実験の結果は成功した。宇宙空間でも、メダカは四三個の卵を産卵し、八匹が正常に誕生したのである。このメダカたちは脊髄動物として初めて宇宙で誕生したことになる。宇宙飛行には、重力の方向から体の平衡を保つ耳石という器官にたよらずとも普通に泳ぐことができる、「視力がよい」メダカが選ばれた。重力の方向を感知する耳石は宇宙の無重力のなかでは意味をなさなくなってしまうからである。地上でも、ジェット機を放物線を描くように飛行(パラボリックフライト)させると約二〇秒間の微小重力をつくり出すことができるが、これを利用してメダカのテストが行われ、微小重力下でも自分の位置が確認でき、回転せずに普通に泳ぐことができるメダカを選んだのである。このメダカたちは白黒の丸い水槽をぐるぐる回して視力テストしたところ、非常に視力がよいこともわかった。視力のよいメダカは、普段小川を泳いでいるときも、おもに視力にたより、耳石にほとんどたよっていないこともわかっている。また、宇宙で産卵するうえで、光で上下を見分けることができることも大事であった。メスとオスが勝手な方向を向いて泳いでいたのでは産卵できないため、泳ぐ方向を一定にする必要があったからである。そこで、地上では試験管のメダカに光を当ててみて、光の来るほうにさっと背中を向けてくれるメダカを選抜。最終的には、視力がよくて、光の来る方向で上下がすぐにわかるメダカが選ばれたのである。そのなかでも、相性のよいメス二匹とオス二匹が選ばれた。産卵行動には相性も不可欠であったのだ。地上に戻った親メダカは、最初は重力の関係でうまく泳げなかったが四日目には泳げるようになった。これに対し、赤ちゃんメダカは最初から上手に泳げたそうである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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