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メキシコ
【めきしこ】

雑学大全2地理 > 国・島・都市

メキシコの政府は、アメリカへ不法侵入をする国民が絶えないことを受けて、不法入国の危険度を認知させるためのパンフレットを作成した。漫画仕立てガイドブックで、わかりやすい内容だ。ところがこのガイド、中身を見てみるとビックリ。越境の際に、どのようにして安全を確保すればよいか、命の危険を避けるために必要なことは何かなどが説明されており、「これでは、むしろ不法入国をしやすくするためのガイドじゃないか!」と非難の声が上がっているという。しかも「メキシコ人移民のためのガイド」という題名のこの小冊子は、二〇〇五(平成一七)年にある人気漫画雑誌の無料付録としてメキシコ外務省が一五〇万部も作成したという。大人向けの漫画本で、ごく一般的な人が手に取りやすい本についた付録だというからさらに驚きなのだ。その冒頭には、川の堤防の茂みで体を寄せ合っている人々の挿絵が入り、はっきりと「このガイドは、国外で新たな仕事を見つけるという困難な決断をした人に、実用的アドバイスをするものです」と書かれている。これではメキシコ政府が確信犯といわれても仕方がないというものだ。当然、本来ならばアメリカに入国して働くためには、アメリカのビザがあるパスポートをとって入国するのが必須なのだが、一応、それを紹介しながらも「もし道に迷ったときには」として、送電線近くの砂漠地帯を歩く人々の挿絵とともに、「このように電線や道路、電柱を頼りに歩くとよい」などという徒歩による越境推進ともとれることが書いてある。さらに、川を渡る際には単独の夜の横断は危険、着衣は濡れると重くなり泳ぐのが困難になる、砂漠地帯横断の際には脱水症状を起こしやすいので塩分を補給しよう、高温時の移動は避けようなど、不法入国のノウハウを数多く教えている。これに対してアメリカ側は当然猛反発。米移民研究センターでは、「メキシコ政府は自国民に対して移民法を守るように指導をしていない」とご立腹だ。各メディアもこの小冊子を取り上げ、新聞社説などで批判している。結局、こうした風潮のためか、メキシコからアメリカへの不法入国を試みて死亡する人はいまだに多い。国境のリオグランデ(川)を渡ろうとして死する人も後を絶たないという。二〇〇四(平成一六)年九月?二〇〇五(平成一七)年九月の調査では、三二五人が両国国境付近で死亡している。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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