富士山③
【ふじさん】
【雑学大全2】 地理 > 場所
日本を代表する山である富士山が、世界遺産に登録されていないことを知っている人は多いだろう。その理由として、よく挙げられるのがゴミの多さ。だが、もしゴミがなかったとしても、富士山が世界自然遺産に登録されることはあり得ないのだという。世界遺産は、自然遺産と文化遺産、その両方といえる複合遺産とに分けられる。なぜ日本が誇る雄大な自然物である富士山が世界自然遺産に登録されないのかというと、その基準を満たしていないからである。社団法人日本ユネスコ協会連盟の「世界遺産の登録基準」によると、自然遺産として認定されるためには、「顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、景観、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地などを含む地域」でなければならない。富士山と同じような火山はいくつもあるし、樹海に生息する植物などは多種多様とはいえ、「富士山にだけ」というものでも、絶滅の恐れがあるものを含むわけでもない。富士山が美しい山であるのは確かだが、要はその地形や生態系、景観に類例を見ないというほどの特徴がないため、自然遺産には登録されないということなのだ。しかし、文化遺産であれば登録される可能性は高い。文化遺産であるためには、「顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など」である必要がある。このなかでもとくに、一九九二(平成四)年に追加された「文化的景観」というカテゴリーに注目したい。文化的景観と呼ぶべきものの基準の一つに、「自然的要素が強い宗教的・芸術的・文化的な事象に関連する景観」とある。古くから山岳信仰の対象としても人々から親しまれてきた富士山。まさしく文化的景観と呼ぶにふさわしいだろう。二〇〇七(平成一九)年一月、文化庁が国内の世界文化遺産登録候補の暫定リストに富士山を加えた。日本の秀峰が正式に世界遺産となる日も近いかもしれない。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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