地球
【ちきゅう】
【雑学大全2】 自然 > 宇宙
地球に関して夢のある説を唱えた三人の人たちがいる。まずは「地球のマントル(珪酸塩鉱物が主成分)下側の領域に、大粒のダイヤモンドの層がある」という仮説を発表したジェラルド・P・カイパー博士である。博士は天王星の観測研究の第一人者で、第五衛星ミランダの発見者でもある。また、晩年に、太陽系の惑星を理解するための新たな研究分野として惑星科学を確立したことでも知られている。二人目は、博士と志を同じくする惑星科学の若き研究者の一人で、「金星にダイヤモンドの層が形成されている可能性がある」という仮説を発表した。彼は、「数十億年前、『水の海』があった時代の金星には、地球と同じように海水に溶け込んだ二酸化炭素が海底に堆積していた」と考え、「大洋底の岩盤である海洋プレートの海溝(細長い部分)から、マントルの下側の二酸化炭素が海水に溶けて生成された炭酸塩のマグネサイトから超高温炭素が放出される」と予測した。そして、この二つのことを結びつけて考えると、放出された超高温炭素の一部がダイヤモンドに変質して層をつくっている可能性があるという仮説を立てたのだ。さて三人目は、二人の仮説を実証しようとした人である。その研究をした人とは、愛媛大学の入船徹男教授である。教授の研究チームは、兵庫県佐用町にある大型放射光施設「スプリングエイト」を用いて高温高圧を加えたマグネサイトからダイヤモンドが創造されるかどうかを確かめる実験を行ったのだ。実験の結果、研究チームは、「地球の赤道半径の三分の一強にあたる地下二六〇〇メートルの深部、約一一〇気圧の高圧状態となっているマントル下部の領域に炭酸塩のマグネサイトが存在していた場合、そこから放出される超高温の炭素の一部がダイヤモンドに変質している」という仮説を発表した。さて、これらの仮説と、それを実証しようとする試みが今後どうなるか、楽しみな話である。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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