シルエット
【しるえっと】
【雑学大全2】 そーだったんだ! > 由来
「シルエット」とは、輪郭内が真っ黒な絵や後方から光を当てて浮かび上がった影絵のことである。なぜシルエットと呼ぶようになったかというと、実は一八世紀フランスの蔵相の名前に由来する。エティエンヌ・ド・シルエット(一七〇九?一七六七年)は、ルイ一五世の絶対王政下で各地の徴税官を務めた後、一七五九年三月に蔵相に就任した。当時は財務長官という肩書きだったが、内閣がなかったので、権限は首相以上だったという。当時のフランスは国庫が赤字状態で、シルエットは就任するとすぐに緊縮財政を実行した。免税権があった特権階級からも税金を徴収する計画を高等法院に提出し、この処置を国民はたいへん歓迎したが、保守的な特権階級からは反発を受け、高等法院は彼の提案を受け入れなかったという。そこで彼は手当たり次第に課税しようとし、「人の呼吸する空気にまで課税しようとした」といわれたほどだ。国民からも大反発を受け、彼の名声は地に堕ちてしまった。いつの時代も、いきすぎと税金は嫌われるのである。同年一一月、シルエットは辞任に追い込まれた。蔵相になってたった八カ月で消えてしまった彼の姿から、輪郭内が真っ暗な絵や影絵のことをシルエットと呼ぶようになったといわれる。また、倹約のために、肖像画を描く場合は高価な絵の具は使わず、黒一色のものにせよと主張したため、輪郭を主とした肖像画がはやったことにちなんでいるという説もある。さらに、彼が切り絵の肖像画を好んだからという説もある。仕事に真面目すぎるために嫌われてしまったシルエットだが、自分の名前がやがて「影絵」をあらわす普通名詞としてフランス・アカデミーに公認され、正式なフランス語として認められるのを、彼は天国で複雑な気持ちで見ていたかもしれない。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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