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大杉栄
【おおすぎさかえ】

雑学大全2ヒトの不思議 > 人物

大杉栄は明治末期?大正時代の無政府主義社会運動家。一九〇五(明治三八)年、東京外国語学校卒業。同校在学中に『平民新聞』に共感し、社会主義運動に参加するようになる。何度も入出獄を繰り返すうち、幸徳秋水の影響で次第に無政府主義に傾倒。一九一二(大正元)年、荒畑寒村と『近代思想』を創刊する。一九二三(大正一二)年、関東大震災後の混乱のなか、妻の伊藤野枝、まだ少年の甥橘宗一とともに麹町憲兵隊に連行され、虐殺された。『正義を求める心』『自由の先駆』などの著書と多数の論文を残し、人間の自由がいかに重要であるかを明快に説いている。大杉の自由尊重や無政府主義という思想は、恋愛にもおよんでいたという話がある。「お互いに経済上独立し、同棲しないで別居の生活を送りながら、お互いの自由を尊重すること」という自由恋愛を提唱したが、この「自由」には、配偶者以外との性的関係も含んでいた。この思想通り、大杉は三人の女性と同時に関係を持った。妻の保子(堺利彦の義妹)のほか、『東京日日新聞』の記者だった神近市子、『青鞜』の編集長を平塚らいてうから引き継いだ伊藤野枝とも恋愛関係にあり、それを隠そうともしなかった。大杉は、老若男女を問わず、会った人を誰でも引きつけずにはおかない社交家で、どんな女でも会えばまいってしまうといわれていた。この三人の女たちも大杉に夢中で、三つ又の関係をも受け入れているかのようにふるまっていた。とはいえ、内心は平気であるはずがない。とくに市子は、大杉と野枝の関係が深まるにつれ、たびたびヒステリーを起こすようになった。あげく、大杉が葉山海岸の日陰茶屋に泊まっていたとき、追いかけた市子は、刃渡り八寸余の短刀で大杉のノドを刺すという事件を起こすまでに至っている。この事件で妻保子はがまんできなくなってついに離婚。市子が逮捕されたので、大杉は野枝と一緒になった。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305