▼漁師好みの耳と足と目玉の上の筋肉
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【旬のうまい魚を知る本】 >
能都町では7月になるとアオリイカが定置網に多くはいる。その網上げの船に乗せてもらったことがある。「この網で漁獲した魚は生きたまま水揚げされるから、鮮度がよくて人気があるよ。今日は波もなくて、月夜で明るいからクチイカがとれるだろう」という漁師の予想通り、フクラギ、メジナ、クロダイ、カワハギなどに混ざって数十杯のアオリイカが姿を見せた。
その晩は漁師宅でクチイカを肴に杯を傾けた。厚めに切った刺身をほおばると、ねっとりとした舌ざわりのあと、なまめかしいまでのうまみが口いっぱいに広がった。私が一皿をペロリとたいらげてしまうと、漁師が大切そうにもう一皿を持ってきて「これは自分用にとっておいたのですが…」。皿にはアオリイカの耳と足と目玉の上にある筋肉が無造作にのっていた。「私らは胴の身よりもこの部分が好みですよ」という通り、歯ごたえと甘みのバランスが絶妙だった。
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【この辞典の書籍版説明】
「旬のうまい魚を知る本」東京書籍 |
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季節別旬魚の解説,全国地域別旬魚カレンダー,代表的漁港マップに加え,魚の構造や通の食べ方などのコラムも充実。鮨屋,レストランなどで魚を語れる人になるためのバイブル。 |
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