ものさし
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > モノ
義理と人情を秤にかける、という流行歌があったが、人間関係はそう簡単に秤にかけられるものではない。ところが、それをものさしで測れるように考えた学者がいるのである。
アメリカの文化人類学者のE・T・ホールは、人間が相手との関係によって距離の取り方を変えることに注目した。そして、その距離によって、人間関係における密接、個体、社会、公衆の四種類の範囲を分けたのである。
最長四〇センチ程度までを密接距離といい、愛撫、格闘、慰め、保護の距離と名づけている。親子や夫婦、恋人など文字どおり、密接な人間関係を築くときにとられる距離である。逆に、他人が無遠慮にこの距離に割り込んでくると、生理的な不快感を覚えるようだ。付き合いはじめのときに、異性に不信感を抱かせるのも、そのためである。
一二〇センチは個体距離で、自分と他者を常に分離しておくための距離と言われる。個人的な興味や関係を打ち明け合うのにはいいが、親密度は薄れる。ほどほどの付き合いをしたい場合には、これくらいの距離でいるのがいいようだ。付き合いのスタートには適当な距離だろう。
三・六メートルまでは社会距離である。これは個人同士の関係でなく、社会的な用件を処理する場合に適当な距離である。例えば、会社の上司、部下といった関係などは、ある程度の距離が必要ということだ。
それ以上の距離は、公衆距離と言われる。公的な場で取られる距離で、いわゆる赤の他人の距離ともいえる。
この距離の取り方は、文化や人種によって多少の違いが出る。アラブ人にとっては、アメリカ人の密接距離が個体距離となっている。つまり、ある程度親しい人はかなり密着して話すのである。だから、彼らがコミュニケーションすると、アラブ人はアメリカ人をなかなか近づいてこない冷たい奴と考え、アメリカ人はいきなりべたべたして不躾で失礼な奴だと思うのである。
そういった誤差はあるものの、人間関係はその距離の取り方に現れる。親しい人や大好きな人がどれくらい距離をとるかによって、相手がどう思っているかがわかるのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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