孫の手
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 ヒトの不思議 > 子供
先端に小さな手のついた背中をかく棒「孫の手」は、かゆいところに手が届く便利な道具だ。かわいい孫に背中をかいてもらうようなものだから、「孫の手」と呼ばれるようになったと誰もが考えることだろう。
ところが、由来は中国の伝説にあったのだ。しかも、かいてくれるのは、孫でなく女性の仙人の手であったようだ。
中国の故事や伝説には、たびたび仙人が登場する。「神仙伝」と呼ばれる、仙人たちが活躍する物語も数多く残されている。
さて、日本の百科事典の原型とされる『和漢三才図会』によれば、後漢の恒帝の時代、蔡経という男のもとに、一〇年ぶりに彼の師匠である王遠という神仙(神でもある仙人)が訪れたという。そして王遠は「蔡経の家に来ている。久しぶりに会いたい」と、女性の仙人の麻姑を呼ぶ。仙人同士の関係は記されていないが、麻姑は王遠のガールフレンドだったのかもしれない。
美しい麻姑の鳥のような爪を見た蔡経が、「この爪で背中をかいてもらったら、さぞかし気持ちいいだろうな・・」と考えていると、王遠に叱責されたというのだ。蔡経はきっと麻姑に見とれていたのだろう。それほど美しい爪であったというわけだ。
これが中国の故事「麻姑掻痒=麻姑を雇いて痒きを掻く」のあらすじである。つまり、もともとは孫でなく、「麻姑の手」だったのだ。
一方、唐の杜牧の詩には、「愁いがきたとき、杜甫や韓愈など詩人や文学者の書物を読むと、麻姑にかゆいところをかいてもらうようだ」とうたわれている。美女の仙人に背中をかいてもらいたい。それは中国の多くの男性の願望だったのかもしれない。
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