プロ野球
【東京雑学研究会編】
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毎年年末ともなれば、花形スポーツ、特にプロ野球選手の年俸がマスコミで取りざたされるようになる。特に野球の場合、契約更改の記者会見までついている。今や大台といえば一億、片手を出せば五千万を意味するような単位で推定される年俸の選手がぞくぞく。普通のサラリーマンでは考えられないような額である。
しかし、マスコミで発表されるのは、確定ではなく、あくまで推定の額である。これはどうしてなのだろう。とにかく球団の確認を取って正式に発表されることはないのだから、推定と書くほかないのである。たとえ選手本人の口からハッキリ額を言ったとしても、それに対して球団の確認を取ることはできないので、やはり推定の域を出ないということである。
球団が発表しないのは税金対策というわけではない。役所にはどうせわかることである。それではどうして発表しないのか。球団が、今後の契約に差し支えると思っているのかもしれないし、ごねる選手が現れるのを警戒してのことかもしれない。やはりこれも推測するしかすべがないようである。
そこで、とにかく選手の年俸を報道したい記者たちは、あの手この手で取材を続け、ある程度の金額をつかむのである。普通に選手に聞いたところで、なかなか答えてくれるものではない。記者は、「大台はいきましたか?」とか「軽く片手はいってますよね?」とか、あるいは前年の大まかな年俸をもとに「前年ベースはたしか○千万でしたね。倍になりましたか?」といった問いかけをしながら、選手が「まあ、そんなところですね」と言ってくれるまで、粘りに粘って大体の額をつかむのである。この額を球団の社長や査定係にぶつけ、「いい線じゃない」といった反応でも取れれば、「△△選手、来年の推定年俸○千万円」という記事が生まれるわけである。
どの社も取材方法に大差はないので、推定する金額もほぼ同じようになるという。「ほぼ」というのは、一〇〇万円前後の違いということらしい。従って、プロ野球選手の推定年俸は、ほぼ正しいということになりそうだ。
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【この辞典の書籍版説明】
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