春
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 学校じゃ教えてくれない?! > 暦
うららかな日差しの下、美しい花の乱れ咲く春が、どうして「卑猥な」とか「いやらしい」イメージにつながったのであろう。「春本」「春画」「春情」「売春」「買春」など、「春」のついた言葉には、口にするのもはばかられるようなものがけっこうある。最近の若者には、adultという英語を「大人の」という意味ではなく「エッチな」という意味にとっている者がいるという。確かに、アダルト映画と呼ばれる映画もあるし、現代の「アダルト雑誌」は、昔の「春本」に当たるからである。しかし、「春」という字が、そのような意味に用いられるのは、本来の意味から派生した結果なのである。本来の意味を求めて、中国古代の哲学を垣間見てみよう。
古代中国では、陰陽五行説で万物の生成や天地の変異、人事の吉凶を説いていた。宇宙間の万物を造っている相反する二つの気「陰」と「陽」で、季節の変化も説明できたのである。冬には「陰」の気が一〇〇%の状態で、しだいに「陽」の気が盛んになってくると春が来て、やがて「陽」の気が盛んになり、夏が訪れる。秋から冬はこの逆である。
「陰」と「陽」は、女と男を象徴するものでもあった。女が陰で男が陽である。中国最古の詩集で儒学の経典でもあった『詩経』に「七月」という詩がある。この詩の中には「女の心痛み悲しむ」とある。陰陽の説では、夏真っ盛りの熱い七月に、女は心痛めて悲しむらしい。
後漢の学者がこの詩につけた注釈によると、「春には女は陽の気に感じて男を思い、秋には男は陰の気に感じて女を思う」とある。
春になると女が男を求めるところから、「春」にエッチな意味がくっついたようだが、「秋」にもエッチの意味を持たせて「売秋」というのはどうだろう。
秋の澄み切った水波は、「秋波」と呼ばれるが、意味が転じて、美女の澄んだ目や、さらには、媚を売る目つき、流し目を意味するようになった。やはり、秋は男が秋波を送られて喜ぶ季節なのである。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
|
“働きバチは1日6時間しか働かない”,“下手な医者をなぜ「ヤブ」と呼ぶのか?”,“『浦島太郎』のカメはオスかメスか?”……のような知的好奇心そそる雑学の集大成。なんと全1000項目!! |
|
出版社:
雑学大全[link] |