東京オリンピック
【東京雑学研究会編】
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オリンピックの開会式で、各国の選手団が着用するユニフォームは、それぞれにお国柄を表す。イギリスはクラシックにスーツ姿で決めれば、フランスはさすがファッション王国らしくブルゾンで女性もパンツ姿だったりする。また、アフリカなどの新興国は民族衣装にこだわりを見せることが多い。
ただ大勢を占めるのはブレザー姿で、日本はたいていこの正統派だ。どこも似たようなスタイルになるなか、各国ともシングルかダブルか前の打ち合わせや、襟の切れ込み具合、またボタンのサイズやデザインと工夫を凝らして、少しでも変化を見せようとアレンジする。
日本ではじめて開かれた一九六四(昭和三九)年の東京オリンピックも同様だったが、その選手団よりさらに目立つブレザー姿が、観客席にあった。作家の故三島由紀夫だ。彼が着ていたのは、まさに燃えるような真紅のブレザーだったのである。
もともとジャケットのブレザーは、燃える炎(ブレーズ)から発生した言葉で、炎のような赤い色のものだった。イギリスのケンブリッジ大学は、オックスフォード大学とボートレースなどの対抗戦を行うが、そのケンブリッジ大学のクルーがはじめて着用した上着が、この燃えるような赤だったことから、上着そのものをブレザーと呼ぶようになっていったのだ。
ほかにも、クリケットやテニスを楽しむケンブリッジ大学生が、クルーを真似して着用したことから、スポーツのときの制服になったのである。
それを知っていた三島由紀夫は、スポーツの祭典の場にふさわしい衣装として、真紅のブレザーを選んだのだろう。
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【この辞典の書籍版説明】
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