天皇
【東京雑学研究会編】
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香川県の坂出市には天皇という地名が残っている。四国にあるこの地は、歴代の都から遠く離れた地であるので、もちろん、都が移されたことがないのは誰もが知っていることだ。その地に、天皇という名前が残されたのには、一体どんな歴史があったのであろうか。
この地名の由来は、平安の末期までさかのぼる。このとき、都では院と天皇が源平を巻き込んで、皇位継承問題を引き起こしていた。そして、一一五六(保元一)年に保元の乱が引き起こされたのである。
崇徳上皇と後白河天皇が争ったものの、半日で上皇側が敗れてしまい、讃岐に配流されたことで乱はおさまった。つまり、天皇の地名のもととなったのは、流された上皇がこの地にやってきたことにちなんだものである。
当時の民衆にとって、よほど大きな出来事だったのだろう。お供の者と休息をとった場所を御供所、馬を止めた所を駒止、一時住んだ場所を新宮、別宮として地名に留めているのだ。
上皇はこの地で亡くなったものの、七〇〇年後、明治天皇がその御霊を京都にもどしたという。
この地には上皇が確かにここにいたという、地名だけが残されたのである。
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【この辞典の書籍版説明】
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