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テキーラ
【東京雑学研究会編】

雑学大全生活 > 飲み物

アルコール度の高いことで知られるテキーラは、メキシコの植物でリュウゼツランの一種から造られる酒だ。植物の名をアガベ・アスール・テキラーナという。
この名前から、原料の植物が酒の名になったように思えるが、実際はシエラマドレ山脈の北側にあるハリスコ州の村、テキーラに由来する。
今ではジン、ラム、ウオッカと並んで世界の四大蒸留酒とされるテキーラだが、誕生のきっかけは、偶然の出来事だった。一八世紀半ばの、メキシコがまだスペインの統治領だった時代のこと。アマチタリャ地方で大きな山火事があったとき、その焼け跡にアガベ・アスール・テキラーナが黒焦げになって残っていたが、一面にいい香りが漂っていたという。
村人の一人がけげんに思って焼け焦げた植物を押しつぶすと、中からチョコレート色をした液が染み出てきて、なめると甘い味がした。そこで、その汁を集めて絞り、発酵させてみたところ、無色の極上の酒となったのがテキーラ醸造の始まりとか。そのため、質のよいアガベ・アスール・テキラーナのあったテキーラ村が、この酒のメッカとなったのだ。
また伝説によれば、この酒の最初の発見者はハツカネズミで、植物の甘い汁を巣に溜め込んでいるのを人間が見つけ、それを集めて発酵させてつくるようになったともいう。が、これは一〇〇〇年も前の話で、実際にはスペイン人が南米大陸を訪れるようになってから、本格的な蒸留工場が誕生したようだ
それでも、メキシコ産の特殊な酒でしかなかったテキーラが、現在のようなメジャーな存在になったのは、一九四九年のアメリカでのカクテルコンテストで、テキーラベースにした「マルガリータ」が入賞したことがきっかけだった。
今では、テキーラを名乗ることができるのは、ハリスコ州全域とミチョアカン州、ナヤリット州の一部地域で蒸留されたものだけ。このようにメキシコ政府が決め、厳しい品質管理が行われているのは、フランス格付けワイン並み。隣接の州で生産されるものは、原料や製法は同じでも「ピノス」という名で販売されている。


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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ISBN: 978-4487799473