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【東京雑学研究会編】

雑学大全ヒトの不思議 > 人体

夜に爪を切ると「親の死に目にあえない」「病気になる」「早死にする」などと言われている。いかにも非科学的こんなタブーがあるのはなぜだろう
夜に爪を切ってはいけない、というタブーは奈良時代からあって『日本書紀』にも「慎んでおのれの爪を収めよ」と書かれてある。つまり、爪も大切な身体の一部だから、切られた後もそこに霊魂が宿ると考えられていたのだ。
今のように照明器具の普及していない時代には、夜は闇の支配する時間帯で、そこにはさまざまな悪鬼や物の怪がひそんでいると人々は信じていた。小さくても霊魂の宿る爪の破片が、闇に住む魑魅魍魎を刺激しては大変なことになってしまう。だから夜に爪を切ることを戒めていたのだ。
江戸時代になると、今度は儒教の教えが広まり「身体髪膚これを父母に享く。あえて毀損せざるは孝の始めなり」と戒められることになる。
つまり、親から授かった大切な爪を暗がりで切るのはよくない、飛び散った爪は夜では捜しにくいし、踏むと痛い、という教えになったのだ。
実際、ほの暗い行灯くらいしかなかった頃、夜に爪を切ったら手許が見えなくて深爪したり、ほかの指を傷つけてしまうかも知れない。それだけですめばいいけれど、傷口からバイキンが入って化膿してしまったら大変なことになる。抗生物質もなかった時代のこと、それこそ「早死に」したり「親の死に目にあえな」くなったりすることになりかねない。
昔からの言い伝えには、何の根拠もなさそうに見えて、実は生活に根ざした大切な戒めが含まれていることも多いということだ。
とはいっても、現在のような明るい室内でだったら、夜に爪を切ることはちっともタブーならない。むしろ入浴後は爪が柔らかくなっていて切りやすいし、今では爪切り自体が、切った爪が飛ばないような仕組みになっている。
ネイルケアの甘皮の処理などはむしろ、お風呂上がりの夜のリラクゼーションタイムにするのがおすすめなのだ。


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487799473