高杉晋作
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 ヒトの不思議 > 人物
長州に生まれ、松下村塾の優等生として名をなし、奇兵隊を創設して早世。幕末という時代を駆け抜けていった高杉晋作は、明治維新という革命ドラマには、登場シーンは少ないながら欠かせない存在である。
師匠の吉田松陰からは、もう一人の逸材・久坂玄瑞の「才」にたいして「識」を評価されていたというが、彼の常「識」の中には、結婚生活というのは存在しなかったようだ。一五〇石取りの武家の子息に相応しい、町奉行の娘と二〇歳で結婚するのだが、それは形だけのものだった。寿命を終えるまでの七年あまり、家庭を顧みることなく過ごしたのは、東奔西走していたためとひいき目に見たとしても、もっぱら愛妾と過ごしたという事実は消すことができない。
妾は名をおうのといい、いつもボーッとしているような、知的な面の全くない女性だったという。同志が不思議に思い「おまえには似合わぬぼんやりした女だが、どこがよくて一緒にいるんだ?」と尋ねると、高杉は答えた。
「その、いつもぼんやりしていて、気のまわらないところがいいんだ。あいつの前で何を話しても秘密がバレる心配もないし」
新しい時代を夢見て、奇兵隊づくりに全力を傾けていた高杉には、尊皇攘夷の志士たちとの交流も多く、当時の長州藩の置かれていた立場からも隠密裡の行動や人間関係も少なくなかったはずだ。そんなとき、気くばりがきいて、その結果ハラハラしてばかりいるような女性といれば、高杉自身も気の休まるときはなかっただろう。
それよりも、気を許してボーッとしていられる女性がそばにいることのほうが、救いだったのだ。
もともとが、おうのの幼く可憐なところが気に入って妾にしたといわれており、殺伐とした現代を生きなければならない二一世紀の男性が、癒し系の女性を求める心情に通じるところがありそうだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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