条件反射
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 知恵
日本人の食べ物としておなじみの梅干し。防腐効果が大きく、少量でおにぎりやお弁当がキリッと引き締まる。その酸味は、疲労回復に良いというクエン酸で、最近では、クエン酸効果という言葉もよく耳にするようになった。
ところが、日本人が作り出したこの伝統の食べ物、梅干しのすっぱさは半端なものじゃない。梅干しを見ただけで、あるいは想像しただけで、唾が出るという人がけっこういる。この反応は一体何なのだろう。
そんな反応は、梅干しがすっぱいということをよく知っている人に限られる。つまり、ほとんどが日本人。梅干しのすっぱさを知らない外国人にそんな反応を示す人はいない。
梅干しを見たり、想像して唾が出るのは、「条件反射」と呼ばれるものである。これは、イワン・ペトロヴィッチ・パブロフによって研究・発見された学習の最も基本的な型である。
彼が始めた「唾液条件反射」実験とはこうである。犬にベルの音を聞かせた後でエサをやることを繰り返していると、犬はやがてベルの音を聞いただけで唾液を分泌するようになる。これがかの有名な「パブロフの犬の実験」である。
パブロフはこの実験により、条件反射の特性を明らかにした。そして、ベルの音という犬にとっては精神的な刺激が、唾液の分泌を引き起こすこと、つまり、唾液腺という身体の器官に大きな影響を及ぼすことを重視した。精神的な刺激を生理学の分野で扱う道を開いたのである。
ちなみに、条件反射が形成された犬で、エサ(無条件刺激という)をやらずに、ベルの音(条件刺激)のみを繰り返していると、条件反射はなくなるという。しかし、条件反射は自然に回復するそうである。
条件反射の形成には、条件刺激が無条件刺激に先行する必要があるとのこと。
なお、パブロフは一九〇四年、ノーベル生理学・医学賞を受賞している。
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