始祖鳥
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 鳥類
鳥のような羽を持つはじめての生物、といえばジュラ紀(二億年前から一億四〇〇〇万年前まで)に生きていた始祖鳥を思い浮かべる人が多いことだろう。
始祖鳥は鳥類ではなく、小型の肉食恐竜コエルロサウルスそっくりの骨格を持つ爬虫類だが、全身が羽で覆われていたことから鳥類の祖先とされ、爬虫類が鳥類に移り変わってゆく過渡期の姿とされていた。
ところが始祖鳥が栄える七五〇〇万年前に棲息していたロンギスクアマという爬虫類は、背中に二列に並んだ細長い突起を持っていて、これらが鳥の羽の原形とも考えられるのだ。これが本当なら、始祖鳥ははじめての羽を持つ生物でもなければ、鳥の祖先でもないということになってしまう。
つまり、ロンギスクアマは爬虫類が恐竜に進化する一歩手前で鳥に進化するために分化した爬虫類ということになり、鳥類の祖先は恐竜ではないことになってしまうのだ。
また一九八六年、アメリカのテキサス州で発見されたプロトエイビスの化石には、始祖鳥よりもはるかに鳥類に近い特徴が認められた。プロトエイビスの発見された地層は二億三〇〇〇万年前のものだから始祖鳥よりもかなり古い時代ということになる。
プロトエイビスはニワトリ程度の大きさで、化石は成鳥と若鳥の二羽のもの。鳥類の特徴の羽は見つかっていないが、前脚や尾部には、羽毛が生えていた証拠となるコブが見つかっている。
プロトエイビスの骨は中空になっていて、胸骨には鳥類の特徴である竜骨突起があった。こういった特徴は始祖鳥には見られなかったもの。驚いたことに、プロトエイビスは始祖鳥よりも古い時代に、はるかに鳥類に近い形を兼ね備えていたのだ。
始祖鳥の化石が発見される以前から、骨格の特徴や、卵の殻が固いことなどから、鳥類が爬虫類から進化したということははっきりしていた。
しかし、鳥の先祖は恐竜とする説も根強く、中でも小型獣脚類という種類の恐竜が鳥に進化していったというのが最も有力だ。それにしても、鳥類の祖先はいまだ不明というのがいちばん確かなようだ。
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