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サボテン
【東京雑学研究会編】

雑学大全生物の不思議 > 植物

棘に覆われて荒野に立つサボテンは、アメリカ大陸にしか分布していない植物である。西部劇の背景でもおなじみのサボテンだが、ところで、あの棘は一体何のために生えているのだろう
誰でも考えるのが、動物に食べられるのを防ぐためということであろう。サボテンが見られるのは、砂漠などの乾燥地帯である。のどが渇いた動物が、水分を求めてかぶりつこうとしても、あの棘を見ただけで退散してしまうことだろう
もちろん、これも正解である。だが、サボテンの棘は、もっとさまざまな働きをしている。
あの棘は、葉の表面が変形したものである。一般的な植物は、面積の広い葉を持っており、太陽が当たると、そこから水分が蒸発するようになっている。しかし、砂漠でそんな葉を持っていては、その植物はすぐに枯れてしまう。サボテンは、水分の蒸発を防ぐため、棘を持つようになったのである
また、サボテンの棘は、強い日差しを拡散させる冷却装置の役目も担っている。棘を全部取って、幹だけの姿にするとサボテンの表面温度は、一〇度も上がってしまうという。
さらに、鋭く尖った棘は、空気中に浮遊している水分を得る働きがある。これは、空気中の水の分子が、静電気に帯電して、尖った棘の先端に付着するのだと考えられている。サボテンが、朝夕に霧さえ発生する場所なら、雨が全く降らなくても生きていくことができるのは、この働きのためである
サボテンは、棘ばかりでなく、その全身が、砂漠で生き抜くことができるよう、特殊なつくりになっている。
幹の皮が厚く、ロウを塗ったようにつやつやしているのも、水分を逃がさないためであり、雨の少ない地域のサボテンほど、根が地表近くに広がり、少ない降水を素早く吸い上げるようになっている。
それでも、これらの特殊な機能を除けば、サボテンは花を咲かせ、種を持った実をつけるという、ごく普通の開花植物であるサボテンの花は、いかつい幹や棘に似合わず、色鮮やか美しいため、園芸植物としても人気がある


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487799473