鯖を読む
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > コトバ
例えば、自分の年齢が三〇歳なのに、二五歳だとごまかして言ったとしよう。すかさず「鯖を読んで……」と、非難とも冷やかしともいえる言葉が飛んでくるだろう。このように数をごまかすことを、「鯖を読む」というのだが、はたしてその語源はどこにあるのだろう。
これは、商人同士の駆け引き、だましあいから生まれた言葉で、品数をごまかして数え、不当な利益を得るというのが、その意味である。
「さばをよむ」の「さば」は、もとは、魚の鯖ではなく「いさば」のことであった。「いさば」とは魚市場のこと。
「漁火」とか「いばら」という言葉があるように、日本語には、はじめに「い」のつく言葉がいくつかある。「いばら」の場合、「い」が落ちて、「ばら」になった。
同じように「魚市場」からも「い」が落ちて、「さば」となり、それに魚の「鯖」の字が当てられたのである。
魚市場には、独特の数の数え方があり、それを「いさばよみ」という。例えば、「一、二、三、四」は「ひとよ、ふたよ、みっちょう、よっちょう」と数える。魚市場に来た商人が、よく魚の数をごまかしたところから、「いさばよみ」が生まれ、数をごまかすことを意味するようになった。
やがて「いさばよみ」が「さばよみ」、「さばをよむ」となり、今日使われている「鯖を読む」になったのである。
ちなみに、「鯖を読む」には、刺鯖などを二枚重ねて一連として数えたので、二つずつ数えるという意味もある。いずれにしても、ごまかし、ごまかされやすい数え方であったようだ。
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