サーキット
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 乗り物
世界最速のドライバーを決めるフォーミュラワン(F1)をはじめ、世界中でたくさんの自動車レースが行われている。それらが主に開催されるのは、レース専用のサーキットだ。
日本ではじめてのカーレースは、実はサーキット以外のところで開催されている。それはなんと上野の不忍池である。
不忍池は、上野公園南西端に接する周囲約二キロの池。かつての東京湾の入江の一部で、周囲を埋めたてられ、残ったのがこの池である。江戸時代からハスの名所としても知られている、歴史のある場所でもある。
一八八四(明治一七)年に競馬場建設のために整地され、開場したものの、収支が合わず競馬場は閉鎖。その後、そこを利用して自転車競走が開催されていた。
その場所に目をつけたのが、当時、銀座に自動車販売会社を開いていた松井民次郎である。彼が自動車をアピールするためにデモンストレーションとして開催したのが、この日本初の自動車レースだったというわけだ。
ときは一九○二(明治三五)年、不忍池で日本初の自動車レースが行われた。出場したのは、グラデーヤトル式四輪車などの外国から輸入したクルマ。グラデーヤトル式四輪車とは、後部にエンジンをつけて、自転車二台を並べて接続し、ドライバーが自転車サドルに、もうひとりが前輪部につけた座席に座れるようにした四輪オートバイだ。
その後、正式な自動車レースは、一九二二(大正一一)年に、東京の洲崎の埋立地で行われる。一九三六(昭和一一)年には、国内初のレース場である「多摩川スピードウェー」が完成したが、第二次世界大戦によって中断した。日本の本格的な自動車レースの幕開けは、一九六三(昭和三八)年の「第一回日本GP」であった。
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