かつお節
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 食べ物
かつお節は、日本特有の水産加工品。ダシを取るのに使うほか、おひたしにふりかけて食べることも多い。最近は削り節のかたちでパックした商品が主流になっているが、かつては燻製の状態で買い、自宅でその都度、削って食べたものだ。木箱製のかつお節削り器が、どの家庭にもあった。
もともと「縁起もの」とされ、祝儀のさいの引き出物や結納に使われてきた。いわば、日本の贈答品の定番である。
ところで、どうしてかつお節は、縁起がいいのか。
起源は江戸時代までさかのぼる。「節」は「武士」と同じ響きだ。「勝男武士」と書けば、一目瞭然かもしれない。江戸時代に、武士のあいだで「縁起がいい」と喜ばれるようになり、それが庶民にまでひろまったのである。
かつお節は、かつおの身を煮て日干しにし、鮫皮で削って縄で磨かれる。携帯食品、保存食品としてもちいられるようになったのは、紀州の甚太郎という男が燻製法を考えだしてからのことだ。
水産加工品の製造がすっかり機械化した昨今でも、かつお節の製法は基本的に手仕事である。仕上がりまでの期間も半年と長い。
そもそも「死のけがれを払う呪力ある食料」との意味はあったようだが、その後の縁起ものとしての活躍ぶりは「出世魚」ならぬ、「出世節」というべきか。
ところで、よそへ猫をやる場合、かつお節を持たせてやるという風習があったという。「猫にかつお節」とは、大好物をそばに置くことから転じて、油断ならないという意味だが、やはり猫の好物であることは確かなようだ。
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【この辞典の書籍版説明】
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