お金①
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > お金
何人もの手に渡り、折り曲げられたり、握りしめられたりしても、お札はなかなか破れない。どうして、ほかの紙より丈夫なのだろう?
日本のお札は、ことに丈夫だといわれるが、これは、紙幣の原料として、ミツマタという丈夫な繊維を持つ木が使われているためである。
ミツマタはジンチョウゲ科の落葉低木で、その名のとおり、枝の分かれ目は、すべて三つまたになっている。中国の中・南部からヒマラヤにかけてが原産地で、日本には室町時代頃にもたらされたといわれる。春先に咲く花は淡い黄金色で美しく、甘い香りがする。生け花にもよく使われるし、庭や垣根に植えている家もあるという、案外身近な植物なのである。
試しに、このミツマタを折ろうとしても、なかなか折ることはできない。繊維がとてつもなく強いからである。
このため、ミツマタは和紙の原料として用いられることとなった。秋に刈り取った幹や枝を蒸して皮をはぎ、何度も水にさらして繊維を取る。できあがった和紙は、強度・弾力があり、きめ細かな手ざわりである。お札には独特の匂いがするが、これもミツマタの匂いである。
ほかに、和紙の原料としては、コウゾやガンピが知られている。当初、ミツマタはこれらの代用として使われていたようだが、ミツマタは栽培も容易であることから、江戸時代の天明年間(一七八一~八九)には、静岡県東部でミツマタ紙の製造が始まった。
紙幣に使われるようになったのは一八八二(明治一五)年頃からで、その後、急速に栽培面積が増えていった。紙幣のほかに、証券紙や鳥の子紙などの高級用紙にも使われている。
また、ミツマタには、防虫効果のある成分も含まれている。丈夫で虫がつきにくいとなれば、お札には最適なのである。
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